さっきまで肩を並べて歩いていた真崎が、声を上げて足を止めた。彼女の視線は空高くに向けられている。瀧川もつられて立ち止まった。
「満月」
そう呟いた唇からは、白い息がこぼれた。
その面の向く方を追って見れば、黒々と塗られた夜の絨毯に凍えたような色の月模様が縫い付けられている。お、と声を洩らした瀧川の息も、やはり同じように白く染まった。
まだ雪の気配はないものの、冬はしんしんと深まってきており、朝晩と頬に刺す空気の冷たさはそれを物語っている。今は光を受けて仄明るく震えているだけだが、この道もやがてあの月のように凍えることだろう。
「…さ、風邪ひく前に早く帰ろ。ね」
二人はしばらく空を眺めたあと、急に寒さを思い出したように歩き出した。冬はまだはじまったばかりだ。
























